- スポスタのプライマリーオイル交換って難しそう・・・
- 工具も知識もないけど自分でやってみたい!
- プライマリーオイルって専用品じゃないとダメ?
国産バイクでは珍しいプライマリーオイルの交換。自分で交換してみたいけどちょっと不安。。。そもそも、プライマリーオイルってエンジンオイルで代用できないの?
そこでこの記事では、ハーレーダビッドソン スポーツスター(XL系 ‘04~)のプライマリーオイルの交換方法をわかりやすく解説します。必要な道具から具体的な手順、注意点までしっかりカバー。初めてでも安心して作業できる内容になっています。

プライマリーにエンジンオイルを入れているライダーさんは、私を含めて一定数いるようです。オイルメーカーの見解とリアルなレビューをお届けします。
今すぐ交換手順が知りたいあなたは、ここからジャンプ!
こちらの記事で、スポーツスターのオイル&エレメントの交換方法を詳しく解説しています。
スポーツスターのプライマリーオイル交換で必要な物
スポーツスターのプライマリーオイル交換に必要な物の一覧は、以下のとおりです。
必要な物 | 数 量 |
プライマリーオイル | 0.95L |
漏斗(ろうと) | 1個 |
Oリング | 1個 |
シールテープ | 1個 |
廃油処理パック | 1個 |
必要な物について、詳しく解説します。
プライマリーオイル:80W-90 0.95L(1qt)
ハーレーのエンジンは、エンジン(腰上)とプライマリー(クラッチ)、ミッション(ギヤ)の3つに分かれていて、それぞれに適したオイルの使用が求められます。
そして、スポーツスターはプライマリーとギアが一体化しているため、ギアを潤滑させつつクラッチは滑らせない高性能なオイルが必要です。

つまり、スポーツスターのプライマリーオイルは、ハーレー専用ではなく、スポーツスター専用のプライマリーオイルを使用しなければなりません。
スポーツスター用プライマリーオイルで迷ったら「レブテック XLトランスオイル」がオススメです。純正と同等の性能を保ちつつリーズナブルなオイルで、0.95L入りなので交換時に丸ごと1本入れるだけ。

最近、私はエンジンオイルをプライマリーオイルにも使用しています。使用中のオイルは、さまざまなレースシーンで活躍するオイルブランド「LOVCA」の「SPORT 15W-50」です。
ただ、メーカーは専用のプライマリーオイルを推奨しているので自己責任になりますが、私はきっとプライマリー専用オイルに戻ることはないでしょう!
詳しい理由とレビューはここからジャンプできます。
漏斗(ろうと)
厚紙よりも漏斗の方が、圧倒的にオイルを入れやすいので購入をオススメします。
社外品で、ハーレーのオイル交換で必要になるツールセットが格安で販売されています。オイルフィルター交換用のオイル受けが使いづらいですが、純正品やバラで買うよりはお得です。

Oリングとシールテープ
ドレンボルトに使用されているOリングは再使用できないので、新品を準備しましょう。Amazonなどで安いOリングが出品されていますが、粗悪品が多いので純正品が無難。
国産バイクと違って、ドレンボルトにシールテープを巻きます。水道管用と同じもので大丈夫です。シールテープを使わない人もいるそうですが、漏れと緩み防止に効果がありそうなので、巻いておきましょう。


廃油処理パック
古いオイルは廃油処理パックにしみ込ませることで、燃えるゴミとして処分できます。受け皿も必要なく、古いオイルをそのまま受け止められるので便利です。

ただし、自治体によっては燃えるゴミとして処分できない地域もあります。もし、自治体で処分できない場合は、ペットボトルなどの容器に入れて、ガソリンスタンドやバイク用品店に持ち込むか、廃油回収業者に依頼しなければいけません。
無料のごみ分別アプリ「さんあ~る」を使用して、事前に確認しておきましょう。


交換整備に必要な4つの工具

スポーツスターのプライマリーオイルの交換に必要な工具は、この4つです。
- ラチェットハンドル 3/8インチ(9.5mm)角
- ソケット 5/8インチ
- 六角ビットソケット 5/32
- メスシリンダー 500cc
ラチェットハンドルは、大きなトルクをかけないので安いものでも良いです。でも、今後も整備を行うなら、工具はちょっと良いもので揃えておけば、後から買い替えずにすみます。
工具はピンからキリまでありますが、ヘッドが回転するスイベルラチェットハンドルは、立てればドライバーのように早回しができるのでオススメです。SK11なら、ラチェットハンドルもソケットも安く揃えられます。

ラチェットハンドルはKTCとMAC TOOLSを愛用中です。ソケット系はSK11にお世話になってます。



プライマリーオイルを大容量パッケージでまとめ買いするならメスシリンダーは必須。

オイルフィルターやOリングを組み付ける際、シリコングリスが必要ですが、エンジンオイルでも代用可能です。シリコングリスはどこでも使える便利なグリスなので、持っていて損はありません。

交換整備に便利な2つのアイテム
エンジンオイル交換であると便利な2つのアイテムはこちら!
- ブルーシート
- エンジニアグローブ
オイル交換作業は注意していても、オイルをこぼしがちです。ブルーシートなどを敷いておくと掃除が楽になります。
手を洗うのが面倒なら、エンジニアグローブがオススメ。ピッタリ手にフィットして再使用も可能です。カゲ太愛用モデルはこちら。

スポーツスターのプライマリーオイル交換方法
スポーツスター(XL883 ‘04~)のプライマリーオイル交換方法をわかりやすく解説します。手順をまとめると、以下のとおりです。
- ドレンボルトを外して古いオイルを抜く
- ドレンボルトのOリング・シールテープを交換する
- インスペクションカバーを取り外す
- ドレンボルトを取り付ける|30N・m
- 新しいプライマリーオイルを入れる|0.95L
- インスペクションカバーを取り付ける|10N・m
- オイル漏れをチェックする
全行程で20分くらいで完了します。エンジンオイルとオイルフィルターも同時に交換するならトータルで30分くらい。それぞれの工程を写真付きで詳しく解説します。
1. ドレンボルトを外して古いオイルを抜く


エンジン下部のドレンボルト(5/8インチ)を緩めます。ドレンボルトにソケットをかけ、手のひらで叩くようにして緩めます。

一般的なボルトが緩む方向は反時計回しです。参考にトリッカーで説明しますが、ボルトの裏側から見ているので、緩める方向に戸惑うかもしれません。

叩いて緩める理由は、グイグイ押したり引いたりして緩めると、勢い余って車体で手を痛める恐れがあるためです。
ドレンボルトを完全に外す前に、廃油処理パックをスタンバイ。ドレンボルトを緩めつつ、外れたと同時に手を横へ逃がすと、古いオイルを浴びる被害を軽減できるかも。

「暖気したほうがオイルが柔らかくなって排出しやすい」とされていますが、暖気はお好みで大丈夫です。暖気してもすべてのオイルは抜けず、火傷を負うリスクも高まるため、私は暖気しません。
暖気の代わりに、スポーツスターはバイクを左右に揺すると効果的です。
2. ドレンボルトのOリング・シールテープを交換する


ドレンボルトに残った古いOリングとシールテープを交換します。Oリングが外れにくい場合は、マイナスドライバーや、先の尖ったもので引っかけてやると簡単に外せます。交換するので、ちぎってしまっても大丈夫です。
ネジに残ったシールテープのカスを取り除き、油分もきれいに拭き取ります。スポーツスターはネジの先端に磁石が付いているので、パーツクリーナーなどでキレイに取り除きましょう。
あまりにも大きい金属の破片や重要そうな部品が引っ付いていた場合は、ショップに相談をオススメします。
Oリングにエンジンオイル、又はシリコングリスを全体的に薄く塗り、締め付ける際に噛み込んでちぎれてしまうことを予防します。
きれいになったネジにシールテープを巻きます。ねじの先端から見て時計回りに2周ほど巻き付けてください。逆向きに巻いてしまうと、ボルトを締めている最中にシールテープがほどけてしまいます。
3. インスペクションカバーを取り外す


プライマリーオイルは、インスペクションカバーかステップ右側の丸いダービーカバーから入れます。オイル交換だけならインスペクションカバーから入れた方が手軽です。
カバーを外し、ガスケットを慎重にめくれば、オイルを入れる穴が現れます。

ちなみにインスペクション(inspection)とは「点検」という意味じゃ!エンジン内部のチェーンの張りを点検できるぞ。
4. ドレンボルトを取り付ける|30N・m
バイクを揺すってもオイルがドバっと出なくなったら、ドレンボルトを取り付けます。周辺をきれいに清掃して、手で絞められるところまで締め、手のひらで叩くようにトン・トン!っと本締めします。
不安に感じたらトルクレンチを使って30N・mで締め込みましょう。

5. 新しいプライマリーオイルを入れる|0.95L


新しいプライマリーオイルをインスペクションカバーの穴から入れます。直接は入れづらいので、漏斗(ろうと)があると便利です。
専用オイルは1クオート(qt)入りなので、まるごと1本入れるだけ。まとめ買いしている場合は、メスシリンダーを使用して950cc測って入れます。

メスシリンダーの読み方は、目の高さを液面と同じにして、盛り上がっていない部分のメモリを読むと正確です。

6. インスペクションカバーを取り付ける|10N・m
プライマリーオイルを入れ終わったら、インスペクションカバーを10N・mで締め付けます。私は、クッ・トンくらいです。

7. オイル漏れをチェックする
最後に、ある程度アイドリングを行い、ドレンボルトのオイル漏れをチェックしましょう。漏れがある場合は、ボルトの締め忘れや、Oリングやシールテープの交換ミスが考えられます。
問題なければ、これでプライマリーオイルの交換は完了です。
お疲れさまでした。
プライマリーにエンジンオイルを入れたら調子良くなった件

プライマリーオイルをエンジンオイルで代用して1年たったので、経緯とレビューをお届けします。結論からお伝えすると、シフトフィールがかなり良くなりました!

あくまで、メーカーとしてはスポーツスター用プライマリーオイルの使用を推奨しているので、自己責任でご判断ください。
プライマリーオイルをエンジンオイルで代用した経緯
スポーツスターのプライマリーオイルに求められる条件「ギアを潤滑させつつクラッチは滑らせないオイル」って、国産バイクからしたら当たり前のこと。
なんだかモヤモヤするので調べてみると、ハーレー純正オイル「FORMULA+」や「SYN3」はエンジンオイルはもちろん、プライマリーオイルとしても使用できるみたいです。プライマリーオイルにも使用できる理由は、以前よりも高性能になったから。これって・・・。
実際に、プライマリーにエンジンオイルを入れているライダーさんは一定数いて、レッ◯バロンもプライマリーに専用オイルを使用していないという話を聞きます。
そこで、愛用しているLOVCAオイルの販売元「㈱オート・クリエイション」に相談したところ、興味深い情報をいただきました。
「ハーレーのプライマリーオイルについて、人気のあるオイルを分析したところ、グループ3ベースで10W-40相当と言う事が分かっております。」
LOVCA販売元 ㈱オート・クリエイション
グループ3ベースについて説明すると、エンジンオイルのベースは、アメリカ石油協会によって5段階のグループに分類されています。グループ1~3が鉱物油でグループ4~5が化学合成油です。
つまり、グループ3は「鉱物油の中では優秀だけど、化学合成油と比べると劣る場合がある」といった感じです。最終的には添加剤で性能や寿命が変わるので、グループ3ベースだから性能が低いとはいえません。
そして、とあるプライマリーオイルの粘度は10W-40とのことなので、愛用中のエンジンオイル「LOVCA SPORT 15W-50」で代用してみることにしました。
「LOVCA SPORT 15W-50」のレビューは、こちらで熱く語っています。

ちなみにプライマリーオイルの粘度が高く表記されている理由は、規格が異なるからじゃ!ギアオイルの80W-90はエンジンオイルの20W-50と同等。ややこしいのぉ。。。
念のため、LOVCA SPORTと純正の万能オイル「SYN3」のスペックを比較してみました。
オイル | LOVCA SPORT | SYN3 |
粘度 | 15W-50 | 20W-50 |
動粘度 | 100℃/19.72 | 100℃/20.38 |
粘度指数 | 170 | 158 |
動粘度とは、粘度を密度で割った値で、数値が大きいほど粘りがあるオイルとされています。粘度指数は、温度に対する粘度変化の度合を表し、数値が大きいほど変化が少ないことを意味します。
LOVCA SPORTの動粘度が0.66ほど低いですが、これがどう影響するのかは乗ってみないことにはわかりません!ということで、乗ってみました。
【レビュー】プライマリーにエンジンオイル入れたった
XL883Rのプライマリーオイルを「LOVCA SPORT 15W-50」にしたことで、かなり調子が良くなりました!
これまで、ニュートラルへの入りづらさや、シフト操作のたびになる「ガキンッ」という金属音が気になっていましたが、どちらも改善が見られました。驚いたのが、シフトチェンジ自体も軽い力で行えるようになったこと。
これまでのオイルが悪かったのか、LOVCAオイルが良すぎるのかは定かではありませんが、今のところ不調はまったくありません。プライマリーオイル交換時にドレンボルトの磁石をチェックしても、金属粉が増えたということもないので、変えてよかったと思います。
個人的にはプライマリーオイルからの卒業をオススメしたいのですが、メーカーとしては専用オイルを推奨しているため、自己責任でお願いします。
また進展があれば報告します!
スポーツスターのオイル&フィルター交換に関するよくある質問
スポーツスターのプライマリーオイル交換に関するよくある質問についてまとめました。交換整備に入る前に、不安を解消しておきましょう!
- Q交換時期の目安は?
- A
プライマリーオイルは一般的に、6,000kmまたは12か月ごとの交換が推奨されています。エンジンオイルは、3,000kmまたは6か月ごとの交換になるので、エンジンオイル2回交換につき1回のペースになります。
- Q余ったオイルは次回も使える?
- A
エンジンオイルは、開封後1~2年を目安に使用すれば劣化の心配はありません。直射日光の当たらない冷暗所にて保管しましょう。
- Q自分で作業するのが不安な場合は?
- A
自分で作業するのが不安な場合は、無理せずバイクショップに相談しましょう。不必要な出費を避けるためにも、無理をしないことが大切です。
- Qオイルを入れすぎてしまった!
- A
エンジンオイルを入れすぎてしまっても策はあります。ドレンプラグを開けて下から抜くか、インスペクションカバーか、ダービーカバーを外してシリンジなどを使って吸い上げれば大丈夫です。
シリンジはブレーキフルードの交換にも役立つので、持っていて損はありません。
- Qボルトが舐めてしまった!
- A
ドレンボルトの頭をなめてしまっても策はあります!ナットツイスターを使用することで、簡単に取り外せます。
どんな作業でも、工具がはずれないように奥まで入れて保持しながら緩める・締めることが大切です。
- Qネジ山を潰してしまった!
- A
オイル排出口のネジ山を潰してしまっても、もちろん策はあります!オイルドレンホール修正キットを使用することで、ネジ山を復活させます。残念ながらネジの情報がなかったので、工具店にドレンボルトを持ち込んで相談してみましょう。
経験がないので、具体的なアドバイスはできませんが、切りくずがエンジン内に残らないように工夫しましょう。切りくずを排出するために、作業後のフラッシングが効果的です。
10分ほどアイドリングした後に、再びエンジンオイルとオイルフィルターを交換することで、エンジン内に残った切りくずを取り除けます。
怖いと感じたら、無理せずバイクショップに相談しましょう。
オイル交換をマスターしたら次はプライマリーに挑戦しよう!
今回は、ハーレーダビッドソン スポーツスター(XL系‘04~)のプライマリーオイルの交換方法の解説と、エンジンオイルで代用したレビューをお届けしました。
プライマリーオイルの交換は規定量を入れるだけなので、エンジンオイル交換よりも簡単です。交換時期もエンジンオイル交換2回につき1回はやってくるため、交換方法を覚えておいて損はありません。
スポーツスターのエンジンオイルとオイルフィルターの交換方法は、こちらで解説しています。
この記事が、スポスタのメンテナンスに興味を持った人の助けになれば幸いです。もし、分からないことがあれば、気軽にコメントください!
ではまた!
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