- 長期間バイクに乗る予定がない
- 冬季保管のやり方が分からない
- ベストなコンディションでバイクシーズンを迎えたい!
冬のあいだ乗らずに放置したバイクは、エンジンをかけようとしてもセルが回らなかったり、エンジンがかかってもアイドリングが不安定になったりすることがあります。調子が悪いのは、愛車が寝ぼけているわけではなく、保管中の管理方法に原因があるのかもしれません。
バイクを冬眠や長期保管させる前に適切な準備をしておけば、春のシーズンインで余計なトラブルを避けられます。
そこでこの記事では、バイクの適切な冬眠方法と、長期保管で役立つアイテムをご紹介します。冬眠の手順は8ステップに分けているので、順番に進めるだけで準備を終えられます。

気持ちよくバイクシーズンを迎えるために、ぜひ実践してみましょう!
冬のあいだもバイクに乗る予定があるなら、防寒装備の見直しや防寒対策が重要です。冬でも快適に走るための装備については< バイクの冬装備とツーリング防寒対策&おすすめウェア >で詳しく解説しています。
バイクの冬眠・長期保管のやり方を徹底解説!
長期間、バイクに乗らずに保管すると「エンジンがかからない」「吹けが悪い」「乗り心地が悪い」という症状が出ることがあるため、事前の準備が欠かせません。
ここでは、冬だけの保管に限らず、数ヶ月〜数年の長期保管にも応用できる方法をご紹介します。バイクの冬眠・長期保管の適切なやり方は、次の8ステップを順番に行うだけです。
- ガソリンを満タンにする
- 愛情込めて徹底的に洗車する
- 金属部分に注油する
- チェーンメンテもしっかり行う
- 空気圧を高めに設定する
- バッテリーのマイナス端子を外す
- バイクカバーをかける
- 防犯対策を怠らない
各ステップごとに詳しく解説します。
① ガソリンタンクを満タンにする

タンク内のサビを避けるために、ガソリンを満タンにしましょう。
燃料タンクに使われている素材を問わず、ガソリンを満タンにしておくことが大切です。ガソリンが少ないと、タンク内は空気が多くなります。空気は結露によって水分の発生させ、酸化によってガソリンの劣化が進みます。
金属製のタンクは、水分が発生すると内部がサビやすいです。サビはキャブレターやインジェクターなどのフューエルラインを詰まらせ、エンジン不調の原因になります。ガソリンの酸化が進むとドロドロになり、やはりフューエルラインを詰まらてしまいます。
サビや酸化を防ぐために、ガソリンを満タンにして空気を減らしておくと安心です。
② 愛情込めて徹底的に洗車する

冬眠前にはバイクを徹底的に洗車して、汚れや塩分をしっかり落とすことが重要です。
汚れが付いたまま放置すると、金属部分が錆びやすくなり、劣化の原因になります。冬の道路に撒かれる凍結防止剤(塩化カルシウム)は腐食を招きやすいため注意が必要です。塩分が付着したまま放置したボルトやナットは錆びて外れにくく、折れることもあります。
泥や油汚れも、放置すると落ちにくくなります。これ―までのツーリングを思い返しながら、愛情込めて徹底的に洗車しましょう。もちろん、拭き上げも丁寧に行ってください。
③ 金属部分に注油する


金属部分に注油を行うことで、サビや腐食を防ぎます。
乾燥した空気や湿気は、金属部分をサビさせます。サビを防ぐには、金属部分を潤滑剤でコーティングすることが効果的です。ワイヤーやプリロードアジャスターなどはサビてしまうと、動きが渋くなってしまいます。
フロントフォークなどのメッキ部分は点サビが発生しやすい場所です。フォークの点サビを放置するとオイル漏れの原因になります。潤滑剤を薄く塗布し、表面をコーティングすることでサビの発生を防ぎましょう。
潤滑剤の塗布しすぎると、ゴミやホコリが付着しやすいので、全体的に伸ばすように軽く拭き上げてください。
④ チェーンメンテをしっかり行う

洗車後は、チェーンのメンテナンスも忘れずに行いましょう。
チェーンを清掃して注油することで、錆の発生や劣化を防ぎます。汚れたまま放置すると、異音がしたり、チェーンの寿命が短くなったりする可能性があります。専用のチェーンクリーナーとブラシを使って汚れを落とし、潤滑剤を適切に塗布してください。
チェーンが伸びている場合は、調整も行いましょう。チェーンが伸びたままだと、バイクの性能が低下し燃費も悪くなります。チェーンメンテナンスは良好な状態を長く保つために大切な作業です。
チェーンメンテナンスのやり方とおすすめアイテムは< チェーンメンテナンスのススメ >をご覧ください。
⑤ 空気圧を高めに設定する

タイヤの変形を避けるために、空気圧は高めに設定します。
長期間動かさずに放置すると、タイヤの接地面が変形し、フラットスポットができてしまいます。フラットスポットができると、走行中に振動が増えて乗り心地は最悪。。。
通常の空気圧よりも10〜20%高めに設定しておくと、フラットスポットの発生を避けられます。たまにタイヤの接地面を動かすとより効果的です。冬眠前に空気圧を適切に調整して、タイヤを良い状態に保ちましょう。
⑥ バッテリーのマイナス端子を外す

バッテリー上がりを避けるために、バッテリーのマイナス端子を外します。
バイクは放置していても、少しずつ電気を消費します。完全に放電してしまうと、バッテリーを復活させるのが難しく、買い替えないといけません。放電を避けるために、マイナス端子やメインヒューズを抜いておきましょう。
バッテリーは温度変化で劣化することもあります。バッテリーを取り外し、温度変化の少ない室内で保管する方法も効果的です。
バッテリーは、10mmのスパナやラチェット、プラスドライバーで簡単に外せます。マイナス端子を外してからプラス端子を外せば、ショートすることはありません。冬眠の際は、ぜひチャレンジしてみてください。
NUDA900Rとトリッカーに使用しているバッテリー「SHORAIリチウムバッテリー」のレビューは< バッテリー死す!?せっかくなのでリチウムバッテリー「SHORAI」を買ってみた! >で行っています。クランキングに不安がある、少しでも車重を軽くしたい人は必見です。
⑦ バイクカバーをかける

バイクカバーはバイクを紫外線や雨風、ホコリから守るためにちょっといいものを買った方が良いです。
屋外保管の場合は、防水性と透湿性が高く、裾が絞れるカバーを選ぶと良いでしょう。カバーの擦れや湿気予防にバイクを毛布などで包むと効果的です。たまに裾を上げて湿気を逃がすとサビを防げます。屋内保管の場合でも、通気性の良いカバーを使用することで、ホコリや湿気によるサビを防ぎます。
冬でも紫外線は降り注ぐので、樹脂パーツの劣化や白化を防ぐために、バイクカバーは必須アイテムです。
⑧ 防犯対策を怠らない

冬の時期は特に防犯対策を怠らないことが重要です。
長期間乗らないバイクは、窃盗犯にとって格好の獲物。冬は人通りが少なくなる時間が多く、オーナーもバイクに乗らないので、犯行の発覚が遅れやすいです。愛車を守るために、しっかりと盗難対策を行いましょう。
バイクを盗難された経験がある私がおすすめする対策は< バイクの盗難対策7選! >で解説しています。
屋内に保管していても盗難されることはあるので、油断は大敵です。定期的にバイクの様子を見に行ってあげてください。ついでにタイヤの接地面を変えたり、カバーをめくってあげましょう。
最悪の事態に備え、盗難保険に入っておく選択肢もあります。中古車でも加入のしやすい「ずっとライドクラブ盗難保険」の補償内容やメリット・注意点をまとめました。
< 【口コミ・評判】ZuttoRide Clubの盗難保険は心と財布の安定剤だ! >
※ キャブ車はコックオフ+キャブ内のガソリン排出!
現行のバイクはインジェクション(FI)車が一般的ですが、キャブレター搭載車(キャブ車)は要注意です。キャブ車はガソリンタンクのコックをオフにし、キャブレター内のガソリンを必ず排出しましょう!
キャブレター内のガソリンは放置中も徐々に気化しているため、燃料タンクからガソリンが少しづつ供給されています。長期間放置していると、タンク内のガソリンが減り、サビの発生やガソリンの劣化が進みます。
キャブレター内のガソリンはドレンを緩めて排出するか、タンクのコックをオフにしてからエンジンをかけて使い切りましょう。
バイクの長期保管で大活躍するアイテム7選
愛車がより快適に冬眠できるアイテムをご紹介します。冬眠以外にも使い道があるアイテムを選んだので、季節を問わず大活躍してくれます。
金属部分の防錆スプレー|エーゼット CKM-001
AZのCKM-001は1本持っていて損はありません。ゴムやシールへの攻撃性はないので、どんなところにも気軽にシュッとひと吹きできます。オイルはサラサラでベタつかず、ホコリやゴミを寄せ付けにくい。
そして、水置換剤のおかげで、金属表面のわずかな水分も浮き上がらせます。洗車後に水が少し残っていても気にせず注油が可能です。同等商品と比べてリーズナブルなところもオススメ!
ガソリンの酸化・劣化防止添加剤|ワコーズ F-1 フューエルワン
ワコーズのF-1 フューエルワンは、燃焼室・吸排気バルブ・インジェクターなどのフューエルラインの洗浄添加剤で知られていますが、冬眠時も活躍します。保管前にタンクに入れておくことで、ガソリンの酸化や劣化、さらには燃料タンクの腐食を抑制します!
冬眠明けにフューエルラインの洗浄もできるので、一石二鳥です。ただし、入れすぎると始動性の低下やパワーダウンの恐れがあります。ガソリンが20L以下の場合は1%を超えないように添加してください。
バッテリー管理用充電器|メルテック バッテリー充電器 MP-200
バッテリーの状態によっては、マイナス端子を外していてもバッテリー上がりを起こすことがあります。MP-200はバッテリー充電器の中でもリーズナブルで購入しやすいモデルです。
ただ、能力値が低いので、充電に時間がかかるとの声もあります。でも、冬は乗らないので時間がかかっても問題なしです。ガレージにコンセントがあれば接続しておいて放置もできます。充電を急がないならコスパの高い充電器です。ただし、リチウムバッテリーには使用できません。
キズ・ホコリ対策|デイトナ ストレッチインナーハーフカバー
デイトナ インナーカバーは、バイクカバーと擦れやすい場所だけカバーしてくれます。全体を覆うタイプだと、チェーンやタイヤでカバーの内側が汚れてしまいます。ハーフカバーなら汚れる心配は無く、装着も簡単です。
室内保管の場合でもホコリを防げる便利なアイテムです。
虫の侵入防止|ディーアールシー サイレンサープラグ
長期間放置していると、マフラーの穴から虫や小動物が浸入することがあります。エンジンをかけた瞬間「ピョーーン」と飛び出してきたり、嫌な臭いが漂ってきたり、想像するだけでキモチワルイ。そこで、物理的に蓋をして、侵入を防ぐのがサイレンサープラグです。
マフラー内に水が入ると、サイレンサーが劣化する恐れがあるので、洗車時も活躍します。
ネコ対策|DAIM ここダメシート
寒い時期はネコさんがシートの上で暖を取りがちです。爪とぎなんてされた日には心もズタボロになってしまいます。ネコさんを寄せ付けないために、ここダメシートを設置しておきましょう。
臭いで寄せ付けない「ネコ撃退シート」という商品もありますが、効果はイマイチのようです。やっぱり、物理的に寄せ付けない方法がベスト。
タイヤ変形防止|ジェイトリップ メンテナンススタンド
初期投資にお金がかかりますが、フラットスポットを防ぎ、メンテナンスもはかどるメンテナンススタンドは便利です。メンテナンススタンドに必要なアイテムは以下の3つです。
ただ、慣れるまでは一人でスタンドを掛けることが難しいかもしれません。慎重に行うか知人にサポートをお願いしましょう。ブレーキレバーロックやタイラップで、フロントタイヤが転がらないようにすると、スタンドを掛けやすいです。
また、フォークアップスタンドはフロントフォークの下部に差し込みます。フロントフォークの取り外しを行いたい場合は「フロントスタンド【JT-1162】」を選んでください。1.6倍ほど高いですが、私も使用しています。
盗難や積雪が不安ならコンテナや屋内保管

自宅や月極駐車場での青空駐車は、カバーとロックを併用していても、盗難やいたずら、積雪による転倒や劣化のリスクがあります。環境によっては、コンテナやトランクルームを利用して保管場所を変えることも検討しましょう。
具体的な保管イメージや費用感は< 【口コミ・評判】ハローストレージは安心保証&強力なセキュリティが魅力! >でまとめているので参考にしてください。
屋根付きや屋内型、防犯カメラ付きなど、こだわりのバイク駐車場をさがすなら「ニリーン」の駐車場検索が便利です。ニリーンの詳しいサービス内容は< 「バイク駐車場が見つからない」問題を解決するならニリーン! >で説明しています。
バイクの冬眠・長期保管でよくある疑問Q&A
バイクの冬眠中や冬眠明けの扱いかたには、迷いやすいポイントがいくつかあります。ここでは、冬眠や長期保管に関する、よくある疑問をQ&A形式で解説します。
- Q冬眠中に「エンジンをかけるだけ」はあり?
- A
エンジンをかけるだけはおすすめできません。短時間のアイドリングだけを繰り返すと、次のようなデメリットが出ます。
- 充分に暖まらず、排気系やオイル内部に水分が残りやすくなる
- バッテリーだけが消耗し、かえって上がりやすくなる
- ガレージ内で排気ガスがこもる危険がある
どうしても動かしたい場合は、路面状況が安全な日に30分程度の走行をして、エンジンとオイルをしっかり温めた方が状態は安定します。
冬眠中はエンジン始動よりも、バッテリーのマイナス端子を外すか、可能であればバッテリーを外して充電器で管理する方法が効果的です。
- Qバイクの冬眠・長期保管のあとにチェックした方がいいことは?
- A
冬眠や長期保管を終えて走り出す際は、次のポイントを確認しましょう。
- バッテリー:電圧低下や端子の腐食がないか
- タイヤ:空気圧の再調整、ひび割れや偏摩耗はないか
- ブレーキ:前後ブレーキの効き、レバーやペダルのタッチ、フルード量
- チェーン・駆動系:サビ、固着、給油状態、適正な張り
- ガソリン・燃料系:タンク内のサビや異臭がないか、漏れがないか
- 灯火類:ヘッドライト、ウインカー、ブレーキランプの点灯確認
- オイル・各部漏れ:エンジン下回りやホース接続部ににじみがないか
これらを確認してから短い距離を試走し、異音や違和感がないかを確かめると安心です。
シーズンイン前の詳しいチェック手順や、走り出す前の準備については< シーズンイン前にやっておきたい点検&準備を解説 >でまとめているので、あわせて確認すると抜けが減ります。
- Q雪の多い地域で屋外保管できる?
- A
雪の多い地域でも屋外保管は可能ですが、条件によってリスクが大きく変わります。
屋外保管のリスクは、次の点を満たせるかどうかを基準に判断できます。- 場所:雪が大量に積もらないか
- 配置:落雪が直接当たらないか
- 環境:スタンドが地面に沈まないか
屋外保管しか選べない場合は、雪の重みや風に耐えやすい厚手のバイクカバーを選びましょう。バイクに積もった雪の重みで転倒したり、破損したりするのを防ぐため、定期的に状態を確認してください。
地面が土や砂利の場合は、スタンドの下に板を敷いて沈み込みによる転倒を防ぎましょう。ただし、サビや転倒のリスクはゼロにはなりません。
積雪量が多い環境では、コンテナやトランクルーム、屋根付きバイク駐車場の利用も含めて検討すると、安全性と管理のしやすさを両立しやすくなります。
冬眠準備をととのえて愛車をいい状態で保管しよう
今回は、バイクの冬眠方法と長期保管で役立つアイテム、冬眠からシーズンインにかけてのポイントを解説しました。
冬眠や長期保管前には、洗車と注油を丁寧に行い、燃料とバッテリー、空気圧の管理を行いましょう。数ヶ月以上の長期保管では、今回紹介したアイテムや保管場所の見直し、防犯対策もあわせて行うことで、リスクを抑えられます。
冬眠中も愛車を放置せず、定期的に様子を見ることが大切です。タイヤの接地面を変えたり、換気を行って長期保管に理想的な状態を保ちましょう。あとは首を長くしてベストシーズンを待つだけ!
冬眠させる前に、今シーズンの汚れや疲れをフレッシュさせて、しっかりとねぎらってあげたいですね。冬眠準備、お疲れさまでした。
ではまた!




コメント