- シーズンインが待ち遠しい
- バイクシーズンっていつ?
- シーズンインに向けてやることを教えて!
日本では、バイクが走りやすいシーズンは春と秋の短い時期です。ベストシーズンに乗り遅れないためには、事前にバイクの点検や装備の確認が欠かせません。
初乗りのトラブルや思わぬ故障を避けるために、シーズンインに向けて準備を進めましょう。
そこでこの記事では、シーズンインに向けて事前にやっておきたい点検と準備について解説します。冬眠や長期保管から乗り出す場合にも役立つ内容なので、シーズンイン前の点検に活用してください。

部品の取り寄せやメンテの予約を考えると、シーズンインの2〜3週間前くらいから準備を始めておくと安心です。
冬眠させるときの手順は< バイクの冬眠・長期保管のやり方完全ガイド >で解説しています。
バイクシーズンはいつ?走りやすい季節の目安
日本では、一般的にバイクが走りやすいシーズンは春の4〜5月と秋の10〜11月の2回に分かれます。ただし、住んでいる地域や走り方によって「走りやすい」と感じる時期は少し変わります。
季節ごとのおおまかな目安は次のとおりです。
気温が上がり始め、路面凍結の心配が少ないシーズンです。日中の寒暖差はあるものの、装備を整えればツーリングに出かけやすくなります。
寒い地域や山間部では、雪解けが遅れて日陰に雪や氷が残っていることがあるため、ルート選びと時間帯には注意が必要です。
日照時間が長く、ツーリングの計画は立てやすい一方で、高温と日差し対策が欠かせません。6〜7月にかけては梅雨の時期と重なり、雨天やウェット路面が増えます。
日中の暑さを避けるため、早朝や夕方に走るライダーも多くなります。渋滞中の熱中症や夕立・ゲリラ豪雨への備えが必要です。
春と並んで「バイクシーズン」とされるシーズンです。気温が下がり、メッシュジャケットでは肌寒くなってきます。一方で、9〜10月は台風や秋雨前線の影響を受けやすく、雨や強風で走行条件が急に変わることもあります。
紅葉シーズンは人気ですが、朝晩の冷え込みや落ち葉によるスリップには注意が必要です。
路面凍結や積雪の影響を受けやすく、山間部や内陸ではツーリングに適さない日が増えます。一方で、沿岸部や温暖な地域では、日中の気温や路面状況を確認しながら走るライダーもいます。
冬のシーズンを楽しむためには、気温に適した冬装備と路面状態の見極めが不可欠です。
バイクシーズンの中心は春と秋ですが、装備やルート選び次第で一年を通して走ることも可能です。どの季節に乗り出す場合でも、シーズンイン前にバイク本体と装備を確認しておくかどうかで、初乗りの安心感は大きく変わります。
バイク装備について詳しく知りたい場合は、季節ごとの装備解説も参考にしてください。
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シーズンイン前にバイク本体を点検しよう

前回のツーリングから時間が空いていると、バイクの調子が変わっていても気づきにくい場合があります。季節によって走行条件も変わるため、シーズンイン前の点検は重要です。
ここでは、シーズンインに向けてチェックしておきたいバイクの点検ポイントを順番に解説します。
エンジンオイルなどの油脂類と冷却水をチェックする


エンジンをかける前に油脂類と冷却水の状態をチェックしておくと安心です。前回の交換から走行距離が少なくても、劣化や量の変化が起きている場合があります。
また、駐車中に漏れて地面を濡らしている場合もあるので、エンジン回りを下から覗いて滲みがないか確認してください。
エンジンオイルの点検は車体を水平な場所に停めて行います。オイル量を確認する際は、バイクをまっすぐに立てて、オイル点検窓やオイルレベルゲージで見ます。
規定範囲より少ない場合は、補充だけで済ませるよりも交換を検討した方が安心です。オイルの色が真っ黒に近い、ドロっとしている、ガソリンのようなにおいが強いといった場合も、早めの交換を考えた方がよい状態です。

冬眠前にオイル交換をしていない場合は、シーズンインに合わせて新しいオイルにしておくと安心です。
前回の交換から走行距離が伸びていなくても、時間の経過や保管環境によってオイルは少しずつ劣化します。
ブレーキフルードの点検では、フロントブレーキマスターシリンダーやリアブレーキのリザーバータンクを確認します。一部のバイクは油圧クラッチが採用されているため、クラッチマスターシリンダーのタンクも確認しましょう。
液量の点検は「MIN」と「MAX」の範囲内に収まっているかを見ます。液面が極端に低い場合は、パッドの摩耗やオイル漏れが隠れている可能性もあるため、単純な補充ではなく原因の確認が必要です。
フルードの色が濃い茶色に近い、濁って見えるといった場合は、交換時期に近づいているサインなので交換をおすすめします。
水冷エンジンの場合は冷却水も忘れずにチェックしましょう。エンジンが冷えた状態で、リザーバータンクの「LOW」と「FULL」などの目盛りの間に液面があるかを見ます。大きく減っている場合や、液の色が濁っていたり、錆びたような色になっている場合は、そのまま乗らずに漏れや劣化の有無をチェックした方が安全です。
油脂・冷却水の交換時期が来ている場合は、以下の目安を参考に交換しましょう。
- エンジンオイル:5,000kmまたは半年に1回のどちらか早い方(3,000kmの人も)
- ブレーキフルード:2年に1回
- 冷却水:2年に1回(長寿命タイプなら7~10年)
エンジンオイルの交換方法やよくある疑問については< バイクのオイル交換は自分でやるべき?徹底解説 >をご覧ください。
ブレーキフルードの交換方法と愛用オイルのレビューは< ACTIVE DOT5.1のレビューと交換のやり方を解説! >で解説しています。
エンジンが正常に始動するか確認する
エンジンオイルや冷却水に問題がなければ、エンジンの始動チェックに進みます。前回乗ってから時間が空いていると、バッテリーの弱りや燃料系統の不調が進んでいても、見た目だけでは分かりません。
乗り出す直前ではなく、早い段階で確認しておくと、バッテリー交換や整備の時間を確保しやすくなります。まずは安全な場所でエンジンをかけて、かかり方とアイドリングを確認します。

キルスイッチとギア位置を確かめてからエンジンを始動させましょう。知らぬ間にキルスイッチがOFFになっていて、故障だと勘違いすることもあります。
セルスイッチ(スタータースイッチ)を押してみて、次のような症状が出る場合は、バッテリーの充電や交換が必要です。
- セルモーターの回り方が弱々しい
- カチカチ鳴るだけでかからない
- キーを回しても何も反応がない
キックスタート式のバイクは、キャブレターを搭載したモデルも多いので、タンクのフューエルコックがONになっているかを確認し、必要に応じてチョークレバーを引いて始動しましょう。
始動後は、アイドリングが安定しているか、軽くスロットルを開けたときの吹け上がりに違和感がないかを見ます。以下の症状がある場合は、そのまま走り出さずに原因を確認した方が安全です。
- マフラーから白煙や黒煙が出続ける
- エンジンから聞きなれない音がする
- アイドリングが安定しない
- メーターの警告灯が消えない
特に冬眠明けや長期保管明けは、エンジンの始動性だけでなく、音や振動、排気ガスの様子にも変化がないか確認しておきましょう。
タイヤの溝・ひび割れ・空気圧を点検する

タイヤはシーズンイン前に必ず確認しておきたい部分です。長期間動かしていないあいだに、空気圧の低下やひび割れが進んでいても、遠目には分からない場合があります。
まずは溝の残量と減り方を見ます。次の場合は、交換を検討した方が安全です。
- スリップサイン付近まで減っている
- センターだけ極端に減っている
- 左右で摩耗の差が大きい
側面に細かなひび割れが入っている場合も、ゴムの劣化が進んでいるサインです。タイヤの製造年週(側面の4桁表示)も確認し、年数が経っているタイヤは溝が残っていても早めの交換を検討しましょう。

冬眠や長期保管をしていたバイクでは、接地面が平らに減ってしまう「フラットスポット」が出ることもあります。手で回しながらタイヤ全周を見て、極端な段差や変形がないかを確認してください。走行中に振動を感じるほど変形している場合も交換をおすすめします。
エアバルブの根元にひび割れや曲がりがないか、バルブキャップがきちんと締まっているかも合わせて確認しておきましょう。空気圧は走行前にエアゲージで測り、取扱説明書や車体の表示に記載された規定値に合わせます。

「なんだか前より乗りづらい」と感じるときは、タイヤの空気圧が低下している場合が多いです。
足回りの消耗品とオイル漏れを点検する

ブレーキパッドの消耗具合とフロントフォークやリアショックのオイル漏れを確認します。
キャリパーのすき間からブレーキパッドの厚みを目視し、残量が少なくなっていないか確認します。パッドは3mm以下が交換の目安です。残量が十分にあっても、片側だけ極端に減っている場合は、キャリパーのオーバーホールが必要な場合があります。

放置し続けると、制動力の低下やディスクローターの交換が必要になるので、早めに対処しましょう。
次に、フロントフォークやリアショックのオイル漏れを確認します。フロントフォークはインナーチューブ(鏡面の筒)を一周見て、オイルのにじみや、指でなぞったときに油分が付かないかをチェックします。リアショックも、ロッド部分や本体周辺にオイルが付着していないか、周囲のホコリがオイルでベタついていないかを見ます。
オイル漏れによってディスクローターが汚れている場合は、パーツクリーナーで念入りに清掃してください。そのまま走行すると制動力が低下する恐れがあり危険です。
ブレーキパッドの残量不足やサスペンションのオイル漏れが疑われる場合は、自己判断で乗り続けず、早めにショップやディーラーに相談しておきましょう。
灯火類とクラクションの動作を確認する

シーズンイン前には、すべてが正常に点灯・作動するかを一度まとめて確認しておきます。目視しづらい場合は、壁やシャッターに光を当てると確認しやすくなります。点検する灯火類は、次のとおりです。
- ヘッドライト
・Hi/Loの切り替えが行えるか
・チラつきはないか - テールランプ/ブレーキランプ/ナンバー灯
・点灯しているか
・チラつきはないか - ウインカー
・前後左右すべて点灯するか
・一定のリズムで点滅するか - ブレーキランプ
・フロント/リアブレーキの操作に反応するか
ハザードランプが装備されているバイクでは、全点灯するかも合わせて確認します。メーターが正常に点灯するかも見ておくと、夜間走行時の視認性の確認につながります。

キーをONにした直後にインジケーターランプが点灯するので、知っておくと確認作業に役立ちます。
最後に忘れがちなクラクションです。スイッチを押したときに、一定の音量でしっかり鳴るかをチェックします。音が極端に小さい、途切れ途切れになるといった症状がある場合は、接点不良やホーン本体の劣化が考えられます。
灯火類やクラクションの不具合は、事故のリスクだけでなく整備不良として目立ちやすい部分です。点灯しない箇所や動作に違和感がある場合は、シーズンイン前に原因を確認し、必要に応じて修理や交換を済ませておきましょう。
チェーンとスプロケットをメンテナンスする

チェーンとスプロケットは、長期間動かさずにいると汚れだけでなくサビも出やすい部分です。表面にうっすらと浮いた程度のサビや黒い汚れであれば、清掃と注油で回復する場合があります。
チェーンの具体的な清掃や注油の手順、必要な道具については< チェーンメンテナンスの方法と楽々アイテム >で詳しく解説しています。
チェーン全体を確認して、以下の症状がある場合は交換を検討しましょう。
- 赤サビで覆われている
- リンクの動きが固い
- リンクが曲がったまま動かない
チェーンの交換目安はシールチェーンは15,000~20,000km、ノンシールチェーンは5,000km前後です。どちらのチェーンも、5年以上使用したものは交換が推奨されています。
スプロケットも合わせて確認します。歯先が細く尖っている、進行方向側だけ大きく削れている、チェーンを引っ張ったときに歯から大きく浮き上がるようであれば摩耗が進んでいるサインです。
チェーン交換に合わせてスプロケットも取り替えておくと、その後の寿命が安定しやすくなります。
最後に、チェーンのたるみを確認します。チェーンの張りが緩いと、燃費の低下や異音、スプロケットへのダメージにつながるため、規定値の範囲に収まるよう調整しておきましょう。
シーズンイン前にバイク装備も点検しよう

シーズンイン前の点検は、バイク本体だけでなくヘルメットやウェアなどの装備にも目を向けることが大切です。長く使っている装備は、外観に大きな傷がなくても、性能の低下が進んでいる場合があります。
ヘルメットの状態確認とメンテナンスを行う
ヘルメットは、見た目に大きなキズがなくても、長く使っていると内装や発泡ライナーの劣化が進みます。
多くのメーカーでは、使用開始から3~5年が交換の目安とされています。大きく落としたり、転倒で地面に強くぶつけた経験があるヘルメットは、外観が無事でも内部にダメージを受けている可能性があるため、買い替えを検討した方が安全です。
内装は、ほつれやヘタリ、汗ジミなどを確認します。脱着式の内装であれば取り外して洗濯し、しっかり乾かしてから戻します。クッション性が明らかに落ちてきている場合や、顔まわりのフィット感がゆるくなっている場合は、パーツ交換やヘルメットを買い替えるタイミングです。

内装の洗濯をサボるとすごい色の水が出てきます。
シールドのキズやコーティングの劣化、あご紐の状態やベンチレーションの開閉機能なども確認し、異常がある場合は交換や買い替えを検討しましょう。
ウェアの汚れやほつれ、プロテクターを点検する
ウェアは、汚れや生地の傷み、色あせを確認します。肘・肩・背中・裾まわりなどに、破れやほつれ、擦り切れがないかを見て、傷みが大きい場合は補修や買い替えも検討しましょう。
防水ウェアの場合は、縫い目のシームテープの浮きや、表面の撥水低下がないかを確認し、必要に応じて撥水スプレーなどでケアしておくと安心です。
プロテクターは入れ忘れがないか、割れや変形がないかをチェックします。着用したときに正しい位置に収まっているかも、一度見直しておきましょう。
グローブやブーツの傷み・防水性をチェックする

グローブは、手のひらや指先の擦り切れ、ステッチのほつれを確認します。転倒時に路面と接触しやすい部分なので、革の薄くなっている箇所や、穴になりかけている部分があれば補修か買い替えを検討してください。
ナックルプロテクターやパッドが入っているモデルは、割れや変形がないかも見ておきます。
ブーツやライディングシューズは、ソールの減り方とヒールの削れ具合を点検します。シフトペダルが当たる甲の部分や、くるぶし周りのプロテクターがへたっていないかも確認しましょう。
ソールがツルツルになっている、縫い目やラバーの継ぎ目が割れている場合は、雨天時のグリップや防水性が落ちている可能性があります。
防水モデルの場合は、水たまりや雨の日の使用で浸水していないかを思い返し、内側が濡れやすくなっていると感じる場合は、防水スプレーや専用ケア剤でのメンテナンスや、買い替えも考えましょう。
シーズンイン前にバイクと装備を整えてツーリングを楽しもう
シーズンイン前にバイク本体と装備を点検しておくことで、初乗りのトラブルを減らし、安心して走り出せます。エンジンオイルや冷却水、タイヤ、ブレーキ、チェーン、足回りの消耗品など、安全に関わる部分を一つずつ確認し、不安があれば無理をせずショップに相談しましょう。
装備も、ヘルメットやウェア、グローブ、ブーツの傷みやフィット感を見直す良いタイミングです。寿命が近いものは、シーズンインをきっかけに買い替えを検討してください。
気温が上がってきても、山間部や朝晩は冷え込みが残ります。路面状況と防寒対策に気を配りつつ、久しぶりのツーリングではペースに余裕を持ってシーズンをスタートさせましょう。
ではまた!



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