- セルフメンテナンスに興味がある
- ブレーキのタッチが気になる
- ブレーキフルード交換の方法を知りたい!
ハードルが高く感じるブレーキ周りのメンテナンス。中でも、ブレーキフルードの交換はエア噛みなどの不安から手が出しにくい。。。ところが、適切な道具と手順を守れば、短時間で安全に交換できます!
そこでこの記事では、エア抜きポンプ(シリンジ)を使ったブレーキフルードの交換方法を分かりやすく解説します。必要な道具から具体的な手順、注意点までしっかりカバー。
タッチがケタ違いに向上するブレーキフルード「ACTIVE DOT5.1」のレビューもお届けします。

ブレーキ周りの交換を考えているバイク乗りさんにオススメです。
今すぐ交換手順が知りたいあなたは、ここからジャンプ!
エンジンオイルを自分でやるメリットと手順は<バイクのオイル交換は自分でやるべき?>で詳しく解説しています。
ブレーキフルード交換で必要な物

ブレーキフルードの交換に必要になる物は、以下のとおりです。画像の注射器については、後ほど説明します。
必要な物 | 数 量 |
ブレーキフルード | 1缶 |
廃油処理パック | 1個 |
必要な物について、詳しく解説します。
ブレーキフルード:ACTIVE DOT5.1
一般的な車種に使用されている規格は「DOT4」と呼ばれる、グリコール系成分がベースのブレーキフルードです。特にこだわりがなければ、ホンダの純正ブレーキフルードがコスパが良いのでオススメ。

「四輪車用」と記載されていますが、バイク専用品との差別化のためで、バイクにも問題なく使用できます。

ちなみにバイク専用品が出た理由は、クルマよりゴムホースが多く、フルード内にカスが出やすいからだそうじゃ。従来品よりも、カスが出にくいように作られておるそうじゃが、これまでにホースが詰まった経験はないのぉ・・・。
愛車のブレーキのタッチが気になる人には、私も愛用している「ACTIVE(アクティブ) DOT5.1」がオススメです。ブレーキフルードを入れ替えるだけで、握り心地や利き初めが劇的に変化します。

価格はホンダの純正ブレーキフルードより割高ですが、交換頻度は変わらないので、カゲモトではずっと愛用しています。
一度経験してしまうと、別のフルードに戻れない!魅惑のレビューはこちら。
廃油処理パック
古いフルードは廃油処理パックにしみ込ませることで、燃えるゴミとして処分できます。受け皿も必要なく、そのまま受け止められて便利です。

ただし、自治体によっては燃えるゴミとして処分できない地域もあります。もし自治体で処分できない場合は、ペットボトルなどの容器に入れて、ガソリンスタンドやバイク用品店に持ち込むか、廃油回収業者に依頼しなければいけません。
無料のごみ分別アプリ「さんあ~る」を使用して、事前に確認しておきましょう。


交換時に必要な工具

ブレーキフルードの交換に必要な工具は、基本的にこの3つだけ。
- プラスドライバー 2番
- メガネレンチ 8-10mm
- エア抜きポンプ(シリンジとホース)
メガネレンチのサイズは、ニップルのサイズによって異なるので、愛車に合わせて準備しましょう。スパナレンチでも作業は可能ですが、作業中に工具を取り付けたままにできるため、メガネレンチがオススメです。
また、トリッカーのリヤブレーキのように、六角レンチが必要になる場合もあります。今後も整備を行うなら、工具セットを購入しましょう。オススメは無難にKTCで、22点組の工具セットなら、ある程度の作業に対応できます。


組み合わせだけ参考にして、お好みのメーカーで揃えてしまってもいいですね。
今回の作業で、もっとも重要な工具がエア抜きポンプです。

ブレーキフルードの交換は、ホースさえあれば作業できますが、エア抜きポンプがあれば、交換作業がはかどります。
エア抜きポンプは、シリンジ(注射器)とホースがセットになった商品で、個別でも購入は可能。シリンジには「SINGLE USE ONLY(使い捨て)」と記載があるものの、使用後にきれいに掃除すれば何回でも使えます。

シリンジは医療器具のため、使い捨てが常識になっています。ただし、整備目的であれば問題ありません(アクティブ製を除く)。
交換整備に便利な3つのアイテム
ブレーキフルードの交換であると便利なアイテムは以下の3つです。
- ブルーシート
- ブレーキニップルアダプター
- エンジニアグローブ
フルードやオイルの交換作業は、注意していてもこぼしがち。ブルーシートを敷いておくと掃除が楽です。
ニップルへのホース取付を楽にしてくれるニップルアダプター。フルードはこぼれると面倒なので、よくわからないメーカーは避けましょう。「買わないとなぁ」と思いつつ、つい忘れてしまうアイテムです。店舗で買った方が少しお得。

手を洗うのが面倒なら、エンジニアグローブがオススメ。ピッタリ手にフィットして再使用も可能です。カゲ太愛用モデルはこちら。

ブレーキフルード交換の手順
ブレーキフルードの交換方法をわかりやすく解説します。手順をまとめると、以下のとおりです。
- マスターのキャップを外す
- 新しいブレーキフルードと入れ替える
- キャリパーにポンプを取り付けニップルを緩める
- キャリパーからブレーキフルードを吸う
- ニップルを締める|締め付けトルク 10N・m
- マスターのキャップを取り付ける|締め付けトルク 10N・m
- 【重要】水で洗い流す
全行程で30分くらいで完了します。それぞれの工程を写真付きで詳しく解説します。
1. マスターのキャップを外す


マスターシリンダーのオイルタンクキャップを外します。多くのバイクは、マスターシリンダーとリザーバータンクが一体になっています。ブレーキレバーの根元付近の四角いボックスがリザーバータンクです。
ブレーキフルードは塗装を傷めるため、こぼれないように対策を行います。キャップを開ける前に、ハンドルを切ったり、スタンドに板をかませたりして、リザーバータンクが水平になるように調整しましょう。
バイクの傾きが大きいと、リザーバータンクからこぼれて大惨事になります。


フルードがかからないようにウエスなどでカバーしたら、プラスドライバー(2番)を使いキャップを開けます。整備あるあるですが、キャップのネジが硬くて緩まないことが多いです。
無理して回すとネジ穴が簡単に舐めてしまうため、貫通ドライバーで叩いて回したり、潤滑油を差したりするのが効果的です。

ドライバーは、回す力よりも押しつける力が重要!力の配分は回す力は3、押す力は7で行うこと。祈りながら回すことも忘れずに。
リザーバータンクのキャップを外すと、樹脂製プレート、ダイアフラム(ペラペラのゴム)の順に外れます。どちらも重要なパーツなので、きれいに清掃して保管しましょう。
2. 新しいブレーキフルードと入れ替える

エア抜きポンプを使って古いブレーキフルードを抜き取ります。残ったフルードや蓄積した汚れは、きれいなウエスで拭き取りましょう。新品は透明ですが、2年も経つと琥珀色になっていて年季を感じます。
※ここからは、キー操作やブレーキ操作は厳禁です。ブレーキラインにエアが噛んで作業が難航します。リカバリ―は可能ですが、説明すると長くなるので、キー操作やブレーキ操作は絶対ゼッタイ厳禁!

リザーバータンクに新しいブレーキフルードを入れます。ブレーキフルードの交換作業中は、エア噛みを防ぐために、定期的に補充を行います。
3. キャリパーにポンプを取り付けニップルを緩める

キャリパーに設置されたニップルにホースをねじ込み、ニップルを緩めます。ホースを取り付ける際に、ニップルアダプターがあると、カポッと被せるだけなので楽です。

ダブルディスクブレーキのバイクは片方ずつ行います。
4. キャリパーからブレーキフルードを吸う

エア抜きポンプを操作して、ブレーキフルードを吸い出します。リザーバータンクをマメに確認して、フルードを補充しながら行いましょう。
フルードを吸っているとき、ホース内を泡が通りますが、エア噛みの心配はありません。泡はホースとニップルの間から入ったエアなので、気にせず作業を続けて大丈夫。
エア抜きポンプが満タンになったら、ニップルを締めて閉じ、ポンプを外して廃油パックに排出します。フルードがきれいな色になるまで3と4の作業を繰り返してください。
5. ニップルを締める|締め付けトルク 10N・m
ニップルを締めてエア抜きポンプを取り外します。締め付けトルクは10N・m。締め付け具合に不安があるときは、トルクレンチを使用すると安心です。
締め付けトルクは、車種によって異なるので、サービスマニュアルを確認しましょう。


ニップルの先端が長いので、ディープソケットが必要になるかも。
6. マスターのキャップを取り付ける|締め付けトルク 10N・m


フルードの量を調整したら、マスターシリンダーのキャップを取り付けます。フルードを入れすぎると、樹脂プレートとダイヤフラムを戻す際に溢れるので注意しましょう。規定のラインやのぞき窓を確認して、基準値に合わせます。
ブレーキのタッチを確認する際、キャップを取り付ける前に勢いよく操作すると、フルードがピュッと飛びます。優しく握るか、キャップを仮締めしてからタッチの確認を行いましょう。
キャップを取り付けるネジの締め付けトルクは10N・m。締め付け具合が不安なときは、ドライバータイプのトルクレンチもあったりします。あまり使用しませんが、どうしても心配な人は探してみてください。
締め付けトルクは、車種によって異なるので、サービスマニュアルを確認しましょう。


リヤブレーキのフルード交換もフロントと同じ手順で行います。スポーツスターのように、別体式タンクになっている場合が多いですが、トリッカーは一体式タンク。
部品構成が微妙に違うこともあるので、取り外す際に順番を確認しておきましょう。
7. 【重要】水で洗い流す

フルードの交換が終わり、漏れのチェックが済んだら、忘れず水で洗い流してください。ブレーキフルードは水で簡単に洗い流せます。
流し残しを避けるために、フルード交換と洗車をセットで行うようにしましょう。これで、ブレーキフルードの交換は完了です。
お疲れさまでした。
【レビュー】すごいぞDOT5.1!気分はラジポン


DOT4から「ACTIVE(アクティブ) DOT5.1」に交換した感想は、ブレーキのタッチがカッチリして、まるでラジポンを導入したような操作感が得られました!スポーツスターのブヨブヨしたタッチが好きではなく、メッシュホースへの交換を考えていたので、DOT5.1の変化には驚きです。
実際に走ってみても、変な遊びがなくなり、操作性が向上しました。握った分だけ、素直に制動力が立ち上がってくれるので、安心感が段違い。

走行性能に興味がないカゲ美も「乗りやすくなった!」とすぐに気づいてくれました。
古いオイルとの比較はフェアではありませんが、交換前にグッと握り込むと、レバーとグリップが引っ付くほどフニャフニャ。新品のACTIVE DOT5.1に交換した後は、強く握り込んでも閉じきれません。
コストはDOT4よりやや高めですが、交換周期は2年と変わらないため、ブレーキに不満があるライダーさんは、ぜひ一度試してみてください。

コスパが良いのはフルード!ブレーキパーツ比較表
ブレーキ周りのパーツはそれぞれ役割や費用感、交換のしやすさが異なります。下の表では、各ブレーキパーツを「タッチ」「制動力」「手軽さ」「コスト」「寿命」の5項目で比較しました。
ブレーキパーツ | マスター シリンダー | ホース | ディスク ローター | パッド | フルード |
交換パーツ例 | ラジポン (ラジアルポンプ) | メッシュホース | レーシング ローター | レーシング パッド | ACTIVE DOT5.1 |
タッチ | 抜群 | 良行 | 良行 | 良行 | 抜群 |
制動力 | 良行 | 良行 | 抜群 | 抜群 | 良行 |
手軽さ | 難しい | 難しい | やや面倒 | 簡単 | 簡単 |
コスト | \20,000~ | \10,000~ | \8,000~ | \8,000~ | \2,640~ |
寿命 | 10年 | 5年 | 5万km | 5,000km | 2年 |
ブレーキパーツの中で、もっともコスパに優れているのがブレーキフルード。自分で交換しやすく、手軽にブレーキのタッチや制動の安定感の改善が期待できます。
まずは、ACTIVE DOT5.1の導入から始めるのが、もっとも現実的で効果的といえるでしょう。

DOT5.1は、ラジポン信者の私も納得の性能です。
SBSのパッドもタッチが良いのでオススメ。

ブレーキフルード交換に関するよくある質問
ブレーキフルード交換に関するよくある質問についてまとめました。交換整備に入る前に、不安を解消しておきましょう!
- Q交換時期の目安は?
- A
ブレーキフルードは一般的に、1万~2万kmまたは2年ごとの交換が推奨されています。乗り方によって劣化スピードが異なるので、ブレーキのタッチが変わったり、フルードが濁ったりしてたら早めに交換しましょう。
- Q交換に必要なフルード量は?
- A
エア抜きの回数や作業方法によって異なりますが、バイク1台につき300ml以上あれば安心です。
カゲ太先日、スポーツスターとトリッカーを交換しましたが、NUDA900Rの分があやしいです。
- Q余ったブレーキフルードは次回も使える?
- A
ブレーキフルードは、開封後早めに使い切ることが推奨されます。もし、色に変化が見られる場合は、使用を控えましょう。
- QDOTごとの規格の違いは?混ぜてもいい?
- A
ブレーキフルードのDOTごとの規格の違いと特徴は、以下のとおりです。
規格 DOT3 DOT4 DOT5 DOT5.1 成分 グリコール系 グリコール系 シリコン系 グリコール系 特徴 古い車両向け 一般的なフルード 古いハーレーくらい 高性能フルード 市販のバイクのほとんどはDOT4が使用されています。ブレーキに不満がある場合はDOT5.1がオススメです。
DOT3とDOT4、DOT5.1は混ぜて使用できます。ただし、性能は低い方に引っ張られるため、メリットはありません。DOT5は絶対に混ぜないでください。成分が違うため、ブレーキ内部でフルードが分離や固着を起こし、作動不良につながります。
- QABS付き車両でも交換して大丈夫?
- A
作業中にキーをONにしなければ問題ありません。キーをONにすると、ABSユニットが作動して、エア噛みを起こす場合があります。ABS内のエア抜きには特殊な作業が必要になるため、絶対にキー操作を行わないでください。
カゲ太フルード交換は長年していますが、正しい手順で行えばABSにエアが噛むことはありません。
- Q自分で作業するのが不安な場合は?
- A
自分で作業するのが不安な場合は、無理せずバイクショップに相談しましょう。不必要な出費を避けるためにも、無理をしないことが大切です。
ブレーキフルードの定期交換で性能を維持しよう!
今回は、ブレーキフルードの交換方法を解説しました。
ブレーキフルードの交換作業はエア抜きポンプを使えば、失敗することなく簡単に交換できます。ブレーキフルードは、時間の経過や走行環境によって徐々に劣化していくため、走行中に違和感を感じたとき、自分で交換できると安心です。
手軽に始められるメンテナンスのひとつなので、ブレーキのタッチが気に入らなかったり、利きが悪くなったときは、「ACTIVE(アクティブ) DOT5.1」を使ってみてください。

ではまた!
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